株式会社ディーエスエス
データ事業部

部品製造業B社

CAD連携AIで設計ノウハウを形式知化
レビュー工数を大幅削減

CAD連携AIで設計ノウハウを形式知化しレビュー工数を大幅削減のイメージ

部品製造業のB社は、設計品質を支える微調整ノウハウが熟練技術者の暗黙知に依存していたため、若手設計者の自立とレビュー効率に大きな課題を抱えていた。

当社はAIと既存CADシステムを連携させ、熟練者の判断基準をデジタル化することで、若手の設計効率向上とレビュー工数の大幅削減を同時に実現し、技術継承の加速にも大きくつなげた。

部品製造業B社

INDEX

ビジネスの課題: 設計ノウハウがベテランの暗黙知に依存し若手の自立と技術継承が進まない状況だった; ベテランによる設計レビューがボトルネックとなり細かな修正対応に工数が集中していた; レビュー負荷が高止まりし熟練者が高度設計や新規開発に十分な時間を割けない状態が続いていた

システムの課題: CADソフトとAIモデルをつなぐAPIが未整備でシームレスなシステム連携が実現できていなかった; 過去の設計データや修正履歴が分散管理されAI学習やノウハウ分析に活用しづらい状態だった; AI結果を設計プロセスに組み込む画面や操作フローがなく現場で継続利用される仕組みが不足していた

DSSは、短期間での成果創出を目指し、既存のCADシステムを活用しつつ、熟練者の知見を形式知化するアプローチを採った。

まず、熟練者が過去に設計・修正した二次元図面データと、その後の三次元モデル作成プロセスを体系的に収集・整理し、「どのような二次元情報から三次元モデルを生成しているか」という判断ロジックをAIに学習させた。

次に、開発したAIモデルを既存のCADソフトから直接呼び出せる連携APIを実装し、二次元情報から三次元モデルの書き起こしを自動支援できる環境を整備した。

これにより、若手設計者は普段使い慣れたCAD画面上でAIの提案を受け取り、熟練者のノウハウを反映した70%完成の三次元モデルを起点に設計を進めることで、ゼロからの作業工数とレビュー回数を大幅に削減できるようになった。

さらに、AIが提示するモデルが共通のたたき台となることで、チーム内での設計意図の共有もスムーズになった。

本プロジェクトでは、既存CAD業務を止めずにAIを組み込むことを重視し、段階的なプロセスで導入を進めた。

まず、熟練者と若手の設計フローやレビュー手順を詳細にヒアリングし、AIが支援すべき工程とデータ取得タイミングを整理した。

次に、過去図面と三次元モデルを用いた検証環境を構築し、AIが提案する三次元モデルと熟練者の結果との差異を定量的に評価しながらモデル精度を継続的にチューニングした。

その後、選定したラインから順次CAD環境にAPIを組み込み、限定ユーザーでのパイロット運用を経て、フィードバックを反映した画面改修と運用ルール整備を行い、段階的な教育とトレーニングも実施した。

あわせて、AI推奨結果の取り扱いガイドラインや設計標準との整合を文書化し、最終的には全設計チームへの展開と継続改善のためのモニタリング体制を整えた。

CAD連携AIの導入により、若手設計者はAIが生成した七割完成レベルの三次元モデルを起点に作業できるようになり、二次元図面から三次元モデルを起こす工数が大幅に削減された。

これにより、設計リードタイムが短縮されると同時に、初期アウトプットの品質が底上げされたため、レビュー段階での手戻りも減少した。

また、AIモデルに組み込まれた判断基準が会社共通の設計ルールとして機能することで、ノウハウが特定のベテランに集中する状態から脱却し、技術継承のスピードが向上した。

さらに、レビュー観点がデータとして整理されたことで教育やOJTにも活用しやすくなり、若手の育成サイクルも効率化された。

熟練者は詳細レビューに追われる時間が減り、高度な設計検討や新規テーマ創出にリソースを振り向けられるようになり、組織全体としての設計力と開発余力の向上につながった。

部品製造業B社: 「設計業務の属人化は長年の課題でしたが、CAD連携AIのおかげで若手が自信を持って図面を仕上げられるようになりました。レビュー負荷も下がり、ベテランは本来注力すべき高度な設計に時間を割けるようになり、大きな効果を実感しています。」

ディーエスエスデータ事業部: 「B社様のプロジェクトでは高精度なAIモデルの開発だけでなく、既存CADに自然に組み込むUX設計を重視しました。現場フローを変えすぎない連携APIとすることで、日常業務の中で継続的に使われる仕組みとして定着させることができました。」